藤井フミヤと言えば…、入院中に不思議なことが起こっていた。
私には300㎞以上離れた町に親友がいる。
結婚で遥か遠くに行った彼女は中学からの友達。遠く離れているので、年に1回くらい会えれば良い方で、お互いに子育てが忙しくなってからは数年に1回会えれば良い方だった。
でも会えば、中学や高校時代と何も変わらない。
どんな形でも連絡すれば何も変わらないので、3年くらい、下手するともっと長い期間電話やLINEをしないなんて当たり前だった。
不思議なことは、私がICU にいる頃、起こっていた。
そんな訳で、彼女とはここ何年も連絡を取っていなかったのだが、そんなある日、彼女が車を運転中にラジオで藤井フミヤの歌が流れたそうで、その瞬間から急に私のことが気になりだした彼女は、私の携帯に電話をしたのだと…。
私は事故で携帯が壊れているので、当然電話に出ることは無い。
彼女は不安になって、地元の友人の何人かに電話をしたらしく…、それでも、そもそも最近の私を知っている人はいないので、何もわからなかった…と。
むしろ、彼女以外のみんなは、「元気にしてるでしょ!?」くらいの反応だったそうで…。そりゃそうだよね…。私でもそういう反応をすると思う。
私はと言うと、LINEを復活させてもトーク履歴は全部消えているので、彼女からのLINEが来ていることを知るわけも無い状態だった。
彼女は私の実家に電話をすることも考えたそうだ。私たちは家電で連絡を取っていた世代。私は彼女の実家の電話番号は今でも覚えているし、もちろん彼女も私の実家の電話番号は覚えている。
でも、さすがに実家に電話するのは…と思ったそうで、私と連絡が取れないのをずっと不安に思っていた…と。
私が彼女のそんな行動を知ったのは、その後何ヵ月も後のことだった…。
先日、彼女に会った。
今新幹線の中だけど、もうすぐ地元に着くから会えないか…、という突然の彼女からのLINE。
LINEが来てから、わずか1時間後に彼女に会った。
これが、数年振りの彼女との再会で、さらに事故後初めての再会。
そう、彼女とはそれでいい…。
たった1時間前の突然のLINEでいい。それで彼女とは、いつも通り会える…。
それが彼女と私。
それで過ぎた時間と距離は無かったことになる。何より、生きてまた会えて良かった。
ねえ、車のラジオで流れていたフミヤの歌は何だったの? また何年後でも良いよ、今度教えてね。