リハビリのメイン目標は、足首の可動域を上げること。
私は転院の時点で、’かかと’が地面から8cm浮いていた。いわゆる、’つま先立ち’しかできなかった。
急性期病院で作った装具は8cm高の靴で、かかとの部分が1cmくらいずつ高さを変えられるようになっていた。(要するに1cmずつ変更できる8cmのアウトソールが付いていた)
リハビリ病院での第一目標は、このかかと部分に外付けされているソールを少しづつ外して、かかとを地面に着くようにすることだった。
人間の足なのに、私の足はビックリするくらいバレリーナ状態で硬直して固まっていた。
明らかに通常の人間の姿では無かった。
もちろん、それ以外にもやらなければいけないリハビリは沢山あった。
寝たきりの状態が長かったため、上半身にもいろいろ問題が生じていた。
療法士の先生たちは毎回、3ヶ月間では時間が足りない、と言っていた。
それに加えて…、私は自主練習をする気力を失くしていた…。療法士の先生にも、自主練習をするように促された。
本当はわかっている。でも、もう…、頑張りたくなかった。
でも…
やっぱり…、やるしかないのか…。
療法士の先生たちに頼るだけでは、日常に戻れない…。私の重傷度は半端では無い。
やるか…。
転院してから数日後、私は、歩行器と共に廊下を往復する自主練習を始めた。
誰のためでもない。
自分のためだ。
やるしかない。
やるしかなかった。