覚醒

闘病記

事故に遭った後、私は4日間意識がなかった。

正確には、状態がひどすぎるため、4日間麻酔で眠らされていた。

その4日間で見ていた夢がある。

夢の中の私は…

『箱の中のような空間で眠っていた。

私が目を覚ますと、誰かが代わる代わる私の顔を覗き込んでいた。

まるで、目を覚ました赤ん坊にミルクをあげるかのように…、私が目を覚ます度に誰かが代わる代わる私の顔を覗き込む』

そんな夢をずっと見ていた。

今思えば、私が見ていたのは夢ではなかった。

私は4日間麻酔で眠らされていたけれど、昼夜のリズムを作るために、昼間は麻酔を調整して目を開けていたそうだ。

もちろん、そこに私の意識はない。

私はまったく覚えていない。

4日間の間に目を開けた状態で家族にも会っているが、私は意識を持って会っていないので、まったく知らない。

誰かが代わる代わる私を覗き込む夢。

そう

私が見ていた夢は、”現実”だった。

今思うと、あの4日間の私は、どの空間にいたのだろう。

夢?現実?

私にとってはどちらも正解。

目は開いていた、みんなの姿は見えていた。

でも意識も記憶もない。

でも、夢として認識しているのも事実。

あのときの’夢’は今も鮮明に覚えている。