闘病記

関節を『曲げる』リハビリは毎日のようにやっていたが、『3歩進んで2歩さがる』の言葉通り、硬直した足はそう簡単には動かなかった。

でも、上半身が動くようになったので車椅子に乗るリハビリを平行してやった。

”血流が悪くなるため、足はなるべく下げてはいけない”ので、車椅子の足場に大きめのクッションを置き、そこに両足を乗せてもらい、あとは自分の両手の力で身体を持ち上げて車椅子にスライドして乗る。

かなりの腕の力を使うが、車椅子に乗ればベッドから出られる。

車椅子に乗れば自分でできることが増える。

手の力だけで自分を持ち上げるので、手首と手のひらにかなりの負荷がかかり、すぐに痛くなってきた。

でも、自分でできることを増やしたかった。ベッドから出る時間が欲しかった。動きたかった。

車椅子に移乗するのも、車椅子からベッドに移乗するのも介助が必要だけど、乗ってしまえば病棟内を動くことはできるので(コロナ禍なので病棟内のみ)、私にとっては車椅子に乗るのは必須で、必死だった。

ただ、お尻の筋力や脂肪すらも落ちてしまっていたので、車椅子に乗っても30分くらいでお尻が痛くなって座っていられなくなるのだったw。

それでも、病棟内を散歩したり、デイルームに行って家族に電話したり、自動販売機で自分でジュースを買ったり、外を眺めたり…。

私は窓側だったけど、目の前に工場のような建物があったので、景色らしいものは何も見えなかったので、車椅子に乗って景色を眺めていた。

デイルームからは小さな公園が見えた。そこに桜の木があり…満開に咲いていたのを覚えている。

もう、春になっていた。

私はまだ…、やっと…車椅子だった。