私は障害者手帳を持っている。
症状固定が間近になった頃、病院内で私担当のOT先生に会った。OT先生は、「障害者手帳があるとできることが増えますよ」と言った。
障害者手帳で、できることが増える?
事故に遭ったことで、圧倒的にできないことが増えているのに、”できることが増える”の意味が全くわからなかった。
でも…、今はその言葉の意味がわかるようになった。
障害者手帳を取得すると、色々な優遇措置を受けることができる。これは、手帳の等級や、地方自治体の制度によって違いは有る。
公共交通機関の割引や税金の優遇措置、美術館・博物館・テーマパークなどの割引など…。
先日の記事にも書いたように、体が不自由だと出掛けるにもハードルが色々とあるため、それが面倒で出掛けるのを躊躇してしまう。
それが積み重なり、やがて家から出なくなってしまう。
障害があることが、出掛けることへの障害になって引きこもりがちになってしまう。
でも、公共交通機関の割引があると、経済的な負担という1つのストレスが軽減されるため、「出掛けようかな…」という気になる。
今まで美術館や博物館になんて行ったことが無かったけど、無料で入れるなら、歩くリハビリにもなるし、ということで行ってみたりする。
こうして1つ出掛けることに成功すると自信が付いて、また違う場所に出掛けてみようと思うようになる。
OT先生が言った「できることが増える」とは、きっと、こういうこと。
健常の時には当たり前ににできていたことが、今は「挑戦」となり「成功」となる。
そして「成功」が「自信」となって継続すれば、それが以前と同じ「日常」になる。
完全に元には戻らなくても、「日常」をまた作っていくことができる。