長男が結婚した。
就職して遠方に行ったので、入籍しただけなので、全く実感が無い。
でも、安心した。
私では無い誰かが、長男を守ってくれる。それだけでいい。
就職して家を出ていった長男の何が心配かって、それはやっぱり、身体が心配。
入院している間も、遠く離れた長男の身体が心配だった。
長男は身体が弱いわけでも、持病があるわけでも、無い。
ただ長男に何かあっても、入院をしている私には何もできないことが、苦痛だった。
長男が就職した頃から、世界ではコロナ禍で連日死者が出ていた。
長男が遠方に行ってからは毎日のようにLINEで長男の無事を確認していた。
私「大丈夫か?」→長男「大丈夫です」
どうか、どうか無事でいてくれ…。
自分の大ケガを棚に上げ、入院中も毎日ベッドの上で祈っていた。
私が退院してから長男が言った。
「俺、本当はコロナにかかったことがある。でも、とても入院している母さんに言えなかった」
と…。
そうだったんだ…。
「大丈夫です」の言葉の中には、嘘が1つあったんだ。
私があまりに心配するから、気を遣わせてしまった。
もう、安心だよ。
私の役目は、また1つ終わった。
次男の就職。長男の結婚。
死の淵から戻った私は、自分の足では上がれなくなった階段を、家族の力によって上がっていく。
結婚あめでとう。
お母さんを安心させてくれてありがとう。
ありがとう。