リハビリは、療法士さんが患者さんを病室に呼びに来るところから始まる。
ただ私の場合は、廊下ですでに自主練習をしていることが多かったので、廊下の途中もしくはナースステーションの前で療法士さんと落ち合うことがほとんどだった。
そういう意味では、私のことは誰もが知っていた。となりの病棟の看護師さんや療法士さんも、みんな私のことを知ってくれていた。
リハビリの中心は、8cm高になっている’かかと’を地面に着くようにすること、だった。
足首にストレッチを施し、装具に付いている約1cm幅のアウトソールを外して、2週間ほどひたすらその状態で自主練習で歩く。
1cm幅しかないアウトソールでも、外して何日かは痛くて歩くのが辛い。
自主練習に行くのが嫌になる。
それでも、療法士さんのストレッチよりも、自身の体重をかける方が効果があると説明されるので、やはり…やるしかない。
2週間くらい歩き続けると、1cm分の高さをクリアでき、残りは7cm高になる。
こうして、『少しづつアウトソールを外す⇒歩く』を繰り返した。
ただ、この計算上で行くと3ヶ月では’かかと’は地面に着かない。
計算上はそうだけど、療法士さんも私も「間に合わせる」ことが共通で最大の目標だった。
だからやっぱり、自主練習をしないと言う選択肢は無かった。
痛い。けど、歩く。
歩く。
装具が無いと歩けない。
装具が無くても歩けるようになりたい。
こんな重い装具が無いと歩けないなんて、普通の靴を履いて歩けないなんて、裸足で歩けないなんて
そんなわけにはいかない。
歩くことで、歩けるようになるなら
歩く。