地道

闘病記

リハビリ病院でのリハビリは、前半はストレッチを入念に行う。

ベッドのようなストレッチ台があり、そこでストレッチを行う。

一見自分だけでやれそうなことをやっているのだが、じゃあ家に帰って1人でやるかと言うと…これがやらないし、できない。

療法士の先生たちに見守られ、声をかけられながらやるから、できる。

急性期病院のPT先生・OT先生が言っていた通りで 、リハビリはとにかく地道な積み重ねだった。

現在の私は杖で歩いているが、平坦な数mなら独歩でも歩くことができる。

でも、これは間違いなく「約2年間の闘病・療養・リハビリの成果」。

事故後、黙って治療だけしていては決してここまで回復しなかった。

ドクターたちの治療、PT・OT先生たちの指導、自分自身の気力と努力。まさに三位一体の結果。

リハビリ病院には、せっかく歩ける状態に治療が完了しているのに、歩こうとしない患者さんがいた。

療法士の先生たちが声をかけても、振り向こうとすらしない。

そう、治療だけでは残念ながら歩くことはできない。

本人の心が動かないと、足は動かない。

人の心は、身体の傷より複雑。

私だって、文章だけで見れば前向きに頑張ってきたように見えるだろうけど…、紙一重だ。

誰かのせいにするのは一瞬で簡単だけど、誰かに甘えて何もしないのも簡単だけど…

わざわざ自分の心に障害物を置く必要は無い、と思ってきた。

歩くのに邪魔な物を、わざわざ目の前に置く必要は無い。

リハビリとは、身体を動かすためだけの言葉では無く、自分の心を動かすための言葉でもあると思う。

心のリハビリ。そして身体のリハビリ。

これはある意味、治療より難しいことなのかも知れない。

どう進むかは、結局、自分で考えるしか無いのだと思う。