視界

闘病記

立てないショックを噛み締め、1日何度も立つ練習をした。

PT先生やOT先生と行うリハビリは、1日せいぜい1時間ほど…。

少しできるようになったと思っても、翌日には元に戻っていたりする。『3歩進んで2歩さがる』は、本当にその通りだった。

先生達は「僕たちの力なんてわずかだから、本人がいかに頑張るか…」だと、いつも言っていた。

やるしかなかった。

何より、自分の身体だから、自分で自分を動かすしかなかった。

立っては1秒、立っては2秒、立っては3秒…。少しずつ、少しずつ、秒数を伸ばす。

生まれたてのカモシカはその日のうちには立てるのに、私は一体何日かかるんだろう…。

毎日何度も、何度も、立ったり座ったり…。1回がスゴく疲れるので、座っている方が圧倒的に長い。

それでも、とにかくやるしかなかった。

つま先がバレリーナ状態で硬直しているので、手放しで立つことはそもそも不可能だけど、つかまり立ちができることが目標。

何日かかっただろう…。

つかまり立ちができるようになった。

やっと立てた。

視界が本来の高さになった。

寝たきりの視界。車椅子の視界。

そして…、立った時の視界。

視界って、立ってるだけで、…全然違う。