闘病記

個室にも2週間くらい居た。

冷蔵庫があったので、面会ができなくなった家族が差し入れだけでも…と色々沢山持って来てくれて、冷蔵庫はいっぱいだったらしい。ソファーがあったのだが、ソファーの上にも何やらいっぱい差し入れがあった。私はもちろん何が入っているのかわからなかったのだが、水分だけはとにかく消費していた。

身体の水分が全部足に摂られる。足の傷を治そうと、身体が作用しているのだろう…、とにかく喉が渇く。

痛みは相変わらずのところへ、異常なほどの喉の渇き。

でも動けないので、好きなように好きなだけ飲むことはできない。喉が渇く…喉が渇く…。

一番辛かったのは、手術前後の絶飲食の時間。その後も手術は何度かあったので、何時間もある絶飲食の時間は、私の地獄の中の1つでもあった。

時間が経つにつれて、口の中がネバネバになり、次第に口の中に粘土のようなものができてくる。

私はウェットティッシュを口の中に突っ込んで、粘土のようなものを取り除いた。ウェットティッシュの水分をチューチューと吸ったりした。

嘘のような、ほんとの話。

痛みも地獄だったけど、頭がおかしくなりそうなくらい…何もかもめちゃくちゃだった。

この先のことを考えるとか、この先歩けるようになるとか、ならないとか…。そんなことどうでも良かった。

今、この場を逃げたい。この現状を逃げたい。

痛い、眠れない、食べれない、動けない。

ICU や個室に居た期間は覚えていないことが多い。というか、脳が拒否反応で記憶を消去しようとしているのかもしれない。

ICU にも個室にも昼の明るい時間はもちろんあったと思うけど、私は暗い時間しか覚えていない気がする。